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逃れきれなかった過去との決別、繰り返された過ち〜(2)
京都パープルサンガの犯した罪と罰

 今季なかなか勝ち星が恵まれないクラブが多く勝ち点が伸び悩んでいたJ1リーグ。
残留を目指すクラブが早々と監督交代を敢行したクラブとは対照的にサンガはというと意地でも
交代はしないという状況だった。臥薪嘗胆とでもいうのか結果的には25節9月30日浦和戦での
1−5での大敗後に残るゲームが9試合という時間がない状況での柱谷前監督監督解任には
驚く事件だったのはいうまでもない。
まさか柱谷前監督を時間が少ない状況で美濃部現監督に移行させるとは思わなかった。
「最後まで諦めない」と強く語り夏のイベントでは必ず残りゲームで10勝して残留を果たしますと
いっていたのだが後半が始まる時点で1勝のみ。
後半戦が始まるとなかなかやはり勝ちに恵まれず失点の改善もされずに負傷者が相変わらず
続出してなかなか現状でのベストを築くのが困難な状況ではあったが14節での清水戦で
ようやく2勝目。
そのあと千葉、大宮、G大阪と3連敗を喫し18節でのアウェイの福岡戦に5−4と打ち合いの
果てに勝利して3勝目。
なかなか勝利を掴むのに苦労を重ねていた。

開幕前にはアレモンの代わりとして新たに獲得しようとする選手の獲得に失敗し、
補強にも消極的だった。
報道される各クラブの情報とは裏腹にサンガの話は一切聞こえてこない。
ようやく獲得した選手はガンバより児玉で必勝祈願前日には千葉より林というニュースが
飛び込んできただけで
「昨年の選手はほとんどが残留して新に獲得した選手4人の少数精鋭でJ1を戦う」という
少数精鋭は聞こえが良いが裏をかえせば補強面、強化には完全に失敗したというのは
あながち嘘ではないだろうし結果的に私が必勝祈願に感じた想いは
「大丈夫か?」だったし繋がりはあったのである。
いくら数少ない選手で昨年同様のベースも柱谷前監督のサッカーを理解していたとしても
やはりレベルが変わったJ1とJ2では状況も戦い方も変わってくるはずである。
仮に怪我などで離脱者が増えると一気にダウンするのは明白であったはずだし
そういう計算がなされていなかったのかという思いも今はある。
J2では同じポジションをこなせる選手をしっかりとそろえたと言っていたがJ2では鍛え抜かれた
フィジカル面がJ1では負傷者が続出し、DFでしっかり守ってカウンターという形がJ2では
やりくりできていた戦い方がことごとく選手に負担をかけたのは事実。特に前線の選手の離脱が
続出して得点力不足にもつながってしまった。
フィジカル面、トレーニング面では完全に何かおかしいのではないか?という思いもあったにせよ
戦い方も変えなければいけなかったはずだしJ1に対応できなかった戦術の見直しも必要だった
はずだが徹底されすぎ選手に対しても意固地に拘りすぎた面もなかったといえば嘘になるだろう。
チームとしてのまとまりも欠落していて一体感は抜けていたのは個人として見受けられていて
パウリーニョ依存症は高かったとも思う。
各クラブが積極的に強化を敢行する中で、アレモンとリカルドの見切りを白紙にして呼び戻たの
には些か不細工というかお粗末な印象はぬぐえないが結果的にワールドカップ中断のところで
やはりアレモンとリカルドを放出してしまう。
ワールドカップ中断に新たに獲得したアンドレ、ピニェイロと名前にPがつくことで
パウリーニョとの3人のPにパープルサンガのPとを思うと縁起がいいと思い、
過去にも救った外国人選手のことなども含めて思い起こしていた私はこれで流れが
変わるだろうという想いを描いていた。

 アレモンは事実J1でのレベルのDFをかいくぐるだけのレベルがあるとは言い切れず
確かに序盤怪我で離脱していたのだがでも決定的チャンスを外したり波もある選手と
思っていたしリカルドについても緩るさが目立つと思っていたが放出に関しては寂しさが
あったとはいえ致し方ないと思ってはいた。
パウリーニョとの絶妙の連携があったJ2時代と同じく絶妙の連携がみれなかたのは残念であり
現在J2横浜FCに期限付き移籍をしたアレモンのそこでの活躍は目を見張るものがあるがだが、
J1でと思うとやはり厳しいといわざる得ないのはあるがしかし、代役として獲得した
アンドレ、ピニェイロに関してはパウリーニョとアンドレピニェイロが揃ってピッチに立ったのは
清水戦だけだったような気がするし、その後は怪我で離脱してしまい計算外だったしようやく復帰
したのが33節のガンバ戦だっただけに戦力的には十分な活躍をしてくれたとはいえない。
ましてや、一応、ディエゴを獲得したとはいえ、戦力級とはいえずに不出場。
育成させるという余裕ある状況でもないのにディエゴの獲得には些か疑問もつく。
強化担当者の技量にも問題はあると思われる。
確かに、アンドレ獲得については後半戦に向けた鍵となる選手だったとは思うが
怪我が響いたツケは大きいし補強の失敗のツケを降格という状況で支払わなければ
いけなかったのは痛すぎた。
シーズン途中にピンポイントに補強できるだけの資金は確保してあるといっていたサンガの
目測の誤りは明白であり柱谷前監督を残り9試合の状況で解任に踏み切り
なおかつ補強できる獲得できる選手の補強期限が過ぎ去った中での状況にはフロントの
お粗末な背景と全権任せきったフロントの最大の盲点があるのはいうまでもない。
これではいくらなんでも無謀すぎるしもっと手立てが早ければいくらでも修正できる時間はあったし
選手補強の面でも開幕前の失敗を帳消しにできるだけの余裕もあったのだ。
30節11月11日の甲府戦のゲーム後にゆうさんと会話をしたんだが
「やはりGMが必要だったんではないでしょうか?それに、スタッフもどうして大嶽さんと美濃部監督と
柱谷監督の線でいかなかったんか僕には不思議でならない。
あの3人だったからこそ連携は取れていたはずだと思うんだけど。。。
加入したコーチはJ1未経験な方もいるようだし・・・。理解できない。。。GMだけでも置くべきだったと
思うけど」という話をゆうさんに言ったことがある。
GMを置くべきだろうしやっぱりサンガフロントンはGMは必要だし今のフロントはサッカーを理解して
いるとは思えないしおくならば腕利きのGMを置くべきだとゆうさんに話した。

それぐらい依存度が高すぎたのは事実だと思う。
ただ、無理も無い。前任のGMだった人物の件もあり、柱谷前監督のサッカーに対する情熱と理想
さらには持っている知識をサンガ側に伝えたことが結果的に好感を得た。GM兼任という立場に
立たせることになるサンガフロントにはあまりにもサッカーに対する知識が薄すぎ、皆無だったと
いわれても嘘ではないだろうし不足していたのではないだろうか?
解任するならばワールドカップ中断期間中だろうとゆうさんと語っていたが時間的にも少ない
状況で行うタイミングはいくらでもありGM兼任にさせてしまったのは結果的には失敗だったと思う。
(京都新聞もそれは指摘している。)
美濃部現監督に火中の栗を拾わせる格好にしてしまったことは世間からも非難されてもおかしくない。
まさに博打に打って出たことで失敗したといわざる得ないだろうしある程度建て直しができたという
梅本社長にも責任はある。確かに柱谷前監督が残した+材料と遺産は大きいしユース世代の成長と
底上げをなすスカラーアスリートプロジェクトも柱谷前監督の提言でありファン、サポーターとの垣根を
越えた身近なる接し方を提言して壁をなくしたのはいうまでもなく柱谷前監督でありサッカースタジアム
建設への訴えを先頭を切って率先していたのはいうまでもなく柱谷前監督である。
梅本社長も2002年の躍進を遂げたときにフロントに入り04年に社長に就任した人物ではあるがGMを
廃止した時点で柱谷監督へ全権を任せ、前監督からサッカーのノウハウを伝えきいていていたことで
任せてしまった部分が結果的には悪い流れに傾いた際に止めるだけの力がなかったのは事実であるし
信頼しきったところは大いにあるだろう。
無理があったといわれても仕方がない。
監督業だけに専念させていれば結果も違ったし今季の補強の失敗も違った方向へ流れた
可能性はあった。
そういう問題点が多発している中、梅本社長自身確かに自らも動き05年には「手作りのクラブ」と
自らも現場にできるだけ足を入れて奔走していたがやはりJ2優勝という肩書きと結果に安心しきった
という面はなかったといえば嘘になるだろうし結果的には出向ということに変わりは無い。
ただ、やはりサッカーを知っているというと違うもの事実である。
ただ、柱谷前監督自体の功績は強化面などでは今後のサンガのスタイルの基礎になったであろうし
継続させれば将来的には開花させられるだけの良質の遺産であるのはいうまでもない。
そこまでサンガのこと、しいては地域密着を掲げるなかでの行動力と情熱は絶大の信頼を
得ていたのは当然でなかなかまねのできることではない。
感謝はしているしその功績は忘れてはいけないだろう。
しかし、結果が全てである状況では解任やむなしではあるが中途半端な交代に踏み切ったのは
お粗末である。

柱谷前監督の解任という04年の西村監督以来のシーズン途中の解任に踏み切ったのではあるが
心中するだろうという想いが強かっただけに解任の歴史を作り上げてしまった歴史の汚点の上塗りを
さらにしてしまったサンガフロントは非難批判されても致し方ないし今後に向けた信頼の回復と
早急なる改善と抜本的な再構築が必要である。
そうしないといつまでも同じことの繰り返しであり今後J1へと戻るにしても歴史の繰り返しを犯して
しまうといった過ちを繰り返すだけである。
繰り返し、それは結局、03年と同じことのリピートをしてしまい、梅本社長、フロント自体が過ちを
繰り返すとは2度の降格を味わい、再起を喫して復帰したJ1という舞台を簡単に踏みにじって
しまった罪は大きい。
降格昇格を繰り返すことで体制を見直し何度も立て直すことによるゆがみがあるからこその過ちを
防がないと意味が無い。反省と教訓が生かされていないとしかいえない。
私が03年と重なると書いたのはそういうのもあるのである。
やはりたびたびの体制作りが結果的に一貫性のない状況に追い込んでしまったのではないだろうか。

(3)へと続く

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