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逃れきれなかった過去との決別、繰り返された過ち〜(3)
京都パープルサンガの犯した罪と罰

 柱谷前監督が任を解かれ引き継ぐことになった美濃部直彦監督は94年JFLに所属していた
サンガにガンバから加入した選手である。
その後、96年に引退してからはコーチとしてサンガに留まり04年には
トップチームのコーチとなってチームを引っ張ってきていた。その美濃部監督が就任したのが
残り9試合という酷な状況下での就任であった。
 「自分のやりたいサッカーをする時間はない。」
火中の栗を拾い上げる形で残留を命題にした戦いは
あまりにも残酷で同情するがトップチームの指揮経験が未熟な状況の就任はフロントにすれば
サンガを一番知っていて現状を一番理解している最適な人材と踏んだのだろうがそれでも
目先の状況に任せていたということに変わりは無い。
 
 大博打とも言うべき美濃部監督の移行は26節大宮戦からであった。
この大宮戦というのも03年の柱谷監督が就任した初戦J218節での大宮戦だったのを
思い出したとき変な感じだな。。。何もそこまであわせなくても。。。と思ったくらいだった。
その大宮戦は観戦することができなかったんだが代わりに観戦したゆうさんからのメールで
結果を知ることはできた。
 「アカン、厳しい・・・」ゆうさんの一言で全てが理解できた。
1−1というスコアレスに負けなかったという安心感はできたものの
27節新潟戦、28節大分戦と、共に1−1のドローという結果に終えていた。
新潟戦までは順位は16位という状況で立場的にはセレッソ、アビスパの下17位18位とは
アドバンテージ的には有利ではあったし入れ替え戦に回れる順位で合ったことに変わりは
無かった。
と同時にここに来て美濃部監督就任以来のDF面では改善は見られ、柱谷前監督のようなDFが
崩壊してしまうような状況にはならなかった。
そういう意味ではある程度の交代での効果は現われていた。
同時にサンガのDFに対する仕掛けは3人で相手を囲みすぐさま流動的に動き出す形に持って
いっているという今まで観られなかた動きが新鮮にも思えていたし、柱谷前監督では起用され
なかった若手を起用するなど持ち駒をしっかりと使うといった策は練られていた。
しかし、セレッソ、アビスパはそこにきて急速に勝ち上がる。
勝てば必ず2クラブにはプレッシャーになると思われていたはずが改善されていたとは
思っていたが柱谷前監督の打たれても打ち返すだけの一矢報いる得点はある程度奪えて
いたものの守備を改善して失点を少なくする策を取り出した美濃部監督になってから急速に
得点力が奪えなくなる。
まあ、これには大宮戦でのアンドレの離脱という不運やピニェイロの離脱など怪我人が激増して
メンバーをやりくりする状況に陥れてしまった形の面やヒットエンドランできない低確率の攻撃の
不味さが噛み合い、アンバランスさがにじみ出てしまった。問題は解決できず、悪循環を繰り
返すだけになってしまった。監督交代という劇薬が逆にサンガには毒薬になってしまった面もある。

 『分かっているのか?交代は対価を支払わなければいけないことにもなるんだぞ。。。
分かっているのか?サンガ・・・・劇薬かもしれないが毒薬にもなるんだぞ・・・』
そうは思っていたが監督交代のツケは悪い面は改善できたものの結果としては
全てを代えるだけの効果は無かった。
 
 即効性は確かにあるとしても持続性がなかったのも過去のサンガであり
今回の柱谷前監督更迭による件も持続はできなかった。
ドロにさらにドロを塗るようなものだ。
ただ、交代によって悪い面が改善されたは言われていたが個人としてみればそれまで
戦う意識が選手達から感じられないとか言われていたが交代させたことで
単純にケツに火がついたというか「ようやく気が付いたか」というのが正しいだろう。
しかし、大宮、新潟、大分と勝たないといけない相手に対して勝てなかった。
そして、大分戦での引き分けでセレッソ、福岡は結果を残した形でそれまで立場的に危機的
状況だったセレッソ、アビスパはサンガを追い越してしまい、順位も最下位となってしまった。
そう、勝てないために勝ちきれないために最下位へと順位を自ら陥れた。
でも、それは自然の流れであり、当然の結果であった。
そして、33節のガンバ戦でJ2降格を決めてしまう。。。

勝ち点22 4勝10分20敗 38得点74失点
 
上記の成績で今シーズンを終えたサンガ。
4勝しか挙げられなかった過去の成績以下の最悪の結果で終えたサンガ。
03年のJ2降格時の6勝という数字以下の最悪の結果を招いたサンガ。
終えてみれば失点数は74とJ2降格を味わったクラブの失点数が大体60前後でありサンガは
それを上回る結果になった。

皮肉なことに03年の2度目の降格の際には
勝ち点23 6勝5分19敗 28得点60失点
一歩の初めて味わったJ2降格となった00年は
勝ち点25、8勝2分20敗 39得点66失点

見通しの甘さや、前半のツケや監督交代による混乱。
怪我人の増加やチームとしての力量不足。
03年のような繰り返しの再生は過去にJ2に落ちていったクラブやサンガが招いた失敗を
リピートしているような気がしてならなかった。
そしてガンバ戦での雨の中の降格。。。
果たしてそれは偶然だろうか。
いや、私には偶然とは言えない。
ガンバ戦、涙にぬれながら思ったことはただ一つ。
神様が与えた罰なのだ。だった。
いくらでも改善できる時間や余地はたくさんあった。
だが、サンガはやらなかった。

 過去の過ちや失敗を散々痛いほど味わい、煮え湯を飲まされたはずだったのに。。。
勝ちきれるポイントを掴みきれず、ズルズルと引き込まれていく降格という2文字。
浮上できないままチームは突き進み『2〜3年後にはのびしろがある選手達を集めた』という
柱谷前監督とは裏腹にやはりチームを引っ張れるだけのリーダーも不在だった。
各選手たちが自立性のある形で全員がまとまり戦わなければいけなかった中で
結果的にはJ1という舞台では経験の不足が浮き彫りになり
誰もが飲み込まれてしまった。。。
 悔やんでも仕方ない。涙を流しても誰も止めてはくれない。
後悔しても取り消しはできない。

 サッカーの神様が与えた罰はあながち偶然でもなく必然性の高い中での
降格だったのだ。。。。
ガンバ戦での万博での降格はなんら不思議ではないと思う。
それは神様が見ていて
「やはりサンガはわかっていなかったか」と思いし天罰なのだ。
突き進んだ道はその時点でサンガは正しいと思いやってきたのだろうが
しかし、J1で戦うにはあまりにもリスクが多すぎる中での状況だった。。

(4)へと続く。

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