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逃れきれなかった過去との決別、繰り返された過ち〜(4)
京都パープルサンガの犯した罪と罰

 Jリーグが2部制へと移行してから早くも8年目を迎えようとしている07年。
サンガは3度目のJ2での戦いを余儀なくされる。
唯一J1、J2を充分知るクラブとなり、全クラブから勝利を挙げている唯一のクラブという不名誉な
記録を作っている。
だが、ここにきてJ1でも上位、中位、下位という力具合が欧州リーグのようなレベルになってきて
おり生半可な形では太刀打ちできない状況に急速にUPしてきている。
06年、自ら信じて作り上げてきた形を真っ向から否定され
「今の君達はJ1にいるべきではない」という屈辱の烙印を押されてしまった。
サンガは昇降を繰り返す度に何度も体制を変え、ゼロからベースを築き上げなくてはいけない状況
に陥らせてしまっている。
それが格差となって現われ、06年でのJ1では完全にレベルを引き離されてしまっていたのは
明白だった。
1年離れればその間にもJ1は力がUPされる。それを何度も分かっていたはずだが・・・

クラブ運営はクラブがなくならない限り続くし、降格、昇格が全てではない。
サンガに必要なのは今後、未来へと続くクラブ運営をいかにして全うしてどのようなクラブへと
突き進むのかを考えなければいけない時期に差し掛かっている。
幸いにも柱谷前監督が心血注いで先頭を切って推し進めたスカラーアスリートプロジェクトによる
立命とのプロジェクトによる下部組織の再組織とそれらを育て上げる施設を作り上げた。
これから始まるこの下部組織は3〜4年後には必ず成果は生まれるだろうしサンガの基盤は必ず
見事に華が開くはず。還元されることに間違いは無い。
クラブに必要なのはこれら下部組織の充実度にもよるししっかりと育てあげる基盤作りと足元を
固定させればどのクラブにも負けない劣らないユース世代の成長は見れるはずだし、
クラブ自体が充実していく。
そしてそれらの中で育て上げられた選手達がトップで活躍するという形も必ず生まれるはずだ。
たとえカテゴリーがJ1だろうがJ2だろうが

「サンガは下部組織がしっかりとしている。他のクラブに負けず劣らず全国でもトップクラスの
組織を作り上げた。あの頃の降格によってサンガは見事に生まれ変わったし
育て上げられた選手はトップでも活躍している。成長したな」

と言われるようになれば個人的には嬉しいし、私はそれを望んでいる。
J1でも、J2でも拘らない。成長していく姿が見たいと強く思う。
応援は続けるし愛情も変わらない。クラブが変化を遂げていく姿をこの目で見たいのだ。

今回の降格を糧にしてもう一度再構築をして全てを見直しなにが必要でなにが足りなかったのか
ということを見つめて、体制を作り上げればクラブは成長していくし、
我々応援する者や支える者たちが声を上げて叱咤激励をすることでクラブもまた強くなる。
また、地域との密接なる関係を築き、改めて気薄であったサンガへの関心度を高めるように
心がけることだろうしクラブは今一度自分達の形を作り上げなくてはいけないはずだ。
そしてそれらをしっかりとオープンに広げるべきだ。
正直なところ1度や2度の同じ失敗は仕方ないと目をつぶってくれるだろうが3度目となると世間の
見方も厳しくなる。
「すいません、また落ちました。」や「また復帰しました」では簡単には済まされない。
4度、5度などもってのほか。
サンガにはそれぐらいの状況になっているというのを改めて感じなければいけないし実感しないと
いけない。
柱谷前監督が残していった財産、遺産は決して無駄ではないし小さくは無い。
サンガには無限なる可能性を秘めたモノを残していった。
それらをしっかりと育て上げて良い部分はさらに伸ばし、悪い面や部分はしっかりと埋めて
いくようにすればかならず近いうちにプラスとなって現われる。
怠らず常に前に進み、成長をしていくことだ。
そして、07年より「京都サンガF.C」として生まれ変わるサンガは名前だけ代えるだけではいけない。
名前を変えただけではなくしっかりとクラブとしての道筋を作り上げる。
でないと今回の降格によって得たであろう教訓、反省が生かされないばかりか再度同じ事を
繰り返す。

痛みのない教訓に意義はないのだし当然ながら柱谷前監督が
「2〜3年後には成果が現われる伸びしろのある選手を集めた」選手達も成果が現われるときに
差し掛かってきている。
今季も48試合という過酷な国内最凶のJ2の中で勝ち得ないと1年間J1で戦った意味は無い。
J2でいかに戦うか、そしてどういう風にJ1へとつなげるか。そしてどういう風にクラブを進めるか?
少なくともJ2で自分達がやること、進む道筋で今後も変わるだろう。
少なくとも自分達のペースを崩さないことだ。
やるべき事をしっかりとやり遂げて自分達を信じること。そして自分達のリズムを崩さないこと。
J2もここ数年でレベルはUPしている。05年に戦ったときとは状況も変わっているだろう。
横浜FCがそれを証明しているし、昨年柏、神戸が降格したことによってJ2でも追い越せといわん
ばかりに48試合を戦い抜いた経験と元J1にいたクラブとの戦いでレベルは確実にUPしている。
底上げは図られてきているだろう。
そこに身をおくことになったサンガは簡単には勝ち抜けるだけの状況とは大いに変わってきている。
簡単には昇格を狙える立場ではない。
しかし、勝ち抜かなければいけないしやるだけの地盤をしっかりと固定しなければいけない。
だが、急速に焦れば足元を救われるのも事実。

06年、自分達の過去と決別はできなかった。逃れられなかた。
そして繰り返された過ちによって結局サンガは歴史の上塗りをしてしまった。
96年のJリーグ昇格から10年目の節目に再びJ1へと舞台は移したが96年の同じように
最下位でシーズンを終えてしまった。
そんな悔いを残すばかりがサンガにまとわり付いてしまった。
全てを変えられるか?それとも同じことの繰り返しか?

私に言えることは応援はやめない。愛情は変わらない。
もはや生活に溶け込んだサンガになんのためらいをもって応援できようか?
頑張れ、やがて樹は熟す。この世に光と闇が存在するならば闇は必ず消え去る。
だが、少なくとも私は今季のJ2にワクワクしているし不思議だが今季のJ2に対して違和感はない。
むしろ楽しみにしている。

愛するサンガよ、今こそなのだ。
(了)

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