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いつか再び翼を広げて −茜色に沈んだ夕焼けの中で(3)-

 
ニュースを見てその時思ったのは真っ先にカズだった。
「加茂さんの為にサンガに来た」その一言がカズがサンガ入りを決めた言葉だった。
「カズ・・・・サンガ退団するんじゃないか・・?」その事が真っ先に考えた事だった。。。。
しかし、なにもカズだけを考えたわけではない。
毎年のように前半成績が悪ければ交代させているサンガの行動がまたしても今回も行なわれた事に、
無性に腹が立った。
 たしかに成績が悪ければ即座に監督に責任が行く。これは何処の国のリーグ戦も当たり前の行動だ。
しかし・・・こうも毎回交代ばかりが続いている事に一体サンガは何がしたいのか不透明だった。
ましてや、1stステージでの成績が今後のJ1残留する為には監督だけを交代させる事ばかりに
集中しているサンガに何がしたいのか、そして、フロントの能力に疑問符がつく事が、
はたして今回の行動が良薬なのかさえわからなかった。
残留・・・という言葉が頭の中をよぎる。誰も想像していなかった言葉が重くのしかかろうとしていた。

実際ファーストステージでは完全に他のクラブとは力の差は明らかだった。。。
中盤での駒不足。けが人の多さ。不徹底な戦術。起用法。。。数えあがればキリがない!
大幅な選手入れ替えによる付けがココに来て完全に表面に現れていた。。。
入れ替えさせればそれで上手くいくはずがない。。。
過去にこれでどれだけサンガは苦汁を舐めてきたか。。。
J1にいて5年目、一体何を学んできたのだろうか。

「まただよ。。。やてられんわ!!」
「溜息つくよ。。。。ほんとに。。。監督交代、コーチ昇格人事はサンガのお家芸ですからね」
応援仲間と会話する事はもっぱらこのことばかりだった。。。。。
「カズ・・・・いまどんな気持ちだろう。。。。」
きっと退団するだろうな。。。。と不安に刈られている時に福岡からのオファーがあることがわかった。
「福岡に移籍するのか。。。?」
「だめだ。。。。いまカズが居なくなる事はもっとサンガが悪くなる。。。
今のサンガにはカズが必要だよ・・・」
祈る思いでカズの残留を願っていた。。。。

確かに加茂監督が居なくなる事はカズにとっても残る理由が無くなる。。
「加茂さんと心中する」
そう言ったカズが簡単に残留するはずがないと思っていたし、
この時点で完全にあきらめていた。。。

それにしてもだ。。。「3年後にはチャンピオンフラッグを京都に持ち帰る」
と豪語していたにもかかわらず2000年は最悪の成績で、上位どころか残留さえ
危ぶまれている状態になったのだ。。。
その言葉と同時にフロントは「もうむやみに監督は交代させない。
そのために加茂さんにチームを任せる為に3年契約を結んだ。」と言っていた
稲盛会長の言葉が完全に嘘にしまった事にも腹が立った。
「結局調子がよけえれば満足で負けてたら責任を追及するのか・・・・。」

やりきれない怒りだけが込み上げる。。。。むやみに更迭させる事で現状が変るなら、
過去もきっと変っていたはずだ。。。
騙し騙しで乗り越えてきたつもりが、今の状態はどうだろう?
今回ばかりは簡単には乗り越えられない気がした。
降格システム、短期決戦形のJリーグでは簡単には修正も効かないし、
一度狂った歯車は簡単には治らない。。。。

京都を応援して6年。。。。何度も怒りを覚え、応援を止めようとさえ
思っていた事はあったが、それでも愛する気持ちだけで西京極へ足を運び、
応援を続けていた。
いつか、きっと全てが報われる日が来る。優勝をするには難しいけれど、
きっとこのチームも上位に顔を出して、
進化するだろうと思っていた。昇格チームが味わう下位に低迷する事はいずれ逃れて、
磐田や柏のように上位に顔を出すはずだと
思っていたはずが、依然、下位に甘んじている事に、今回はどうしようもない事が起こる
予感が徐々に芽生えていた。
確かに昨年セカンドで見せた勢いも見れたことはあったけど。
でも昨年と同じように絶対京都は上位に顔を出す。いよいよ京都も変わる時が来た!
今までやられて来たチームに借りを返す時が来た!と思っていたのに。。。。
J1に旋風を巻き起こすぞ!と意気込んでいたはずなのに。。。。

 加茂監督が更迭された後、ハッサン2世杯を終えて、帰京したカズがサンガに合流した。
去就が注目されていたことに、答えは出た。
新聞に掲載された記事に「カズ京都残留」と見出しが出ていた。
「よかった。。。。ありがとう!カズ!!」
ずっと応援していたカズが京都に来てくれて、応援していた京都に来てくれた喜びを感じていた以上に
京都に残留してくれた事でさらに喜びを爆発させた。

もはや、あと何勝しなければ残留できないという計算をする状態ではない。
今はとにかく必死になって応援するしかない。

「チームは2部落ち寸前なので、トーナメントの気持ちで戦わないと。
1日1日を大事に今まで通りやっていきたい」
サンガに残留する意向を示したカズの言葉だった。

カズの残留が決まったと同時に新たなる戦力も加わった。韓国代表MF朴智星。
不足気味の中盤に新たなる力が加わった。
「ようやく重い腰を上げたか・・・・。でも今回は韓国からか。。。
期待されてる選手ようだな。。。韓国の期待の新星か。。。
どんな選手だろう。。。。楽しみだ。ブラジル人は当てにならないということか。。。。
当たり外れ多いからかもね・・・・」
自分に言い聞かせながら、ついにサンガはセカンドステージを迎えようとしていた。
まさにサバイバルとなったセカンドステージ。やがて訪れる魔の瞬間を見届けることになる、
サンガ最後のJ1シーズンセカンドステージ開幕を時は静かに刻んでいた。。。
そして、激動のシーズンを送っているサンガ以上に自分にも人生最大のピンチが訪れようとは
予想もしていなかった。
そしてそれを救ってくれた人物がカズだった事もこのときは知る由もなかった。

6月24日(土)ホーム西京極でのセカンドステージが開幕した。
対戦相手は同じく降格の瀬戸際にいたジェフ市原だった。。。
「運命のめぐり合わせか・・・・まさか開幕戦大敗した相手と同じ降格を争う事になるなんて。。。」

互いに潰しあいを演じなければどちらかがJ2に落ちることになる・・・・。
まさに地獄。。。勝てば天国。。。。運命のカウントダウンがついに始まった。。。。

(4)へ続く。 

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