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矛盾と平行と迷い −苦しむ紫士− (2004年5月18日)

 3月に開幕したJ2リーグは早くも第2クールを迎えた。
正直なところサンガがここまで苦戦するとは思わなかった。
第2クール開幕戦の福岡との試合でも無得点無失点の引き分け。
サンガが無得点の試合はここまで4試合。共に決定力が不足してとりわけ怪我人が続出。
チームは安定度を欠き、対戦相手から脅威と感じられていた攻撃陣は不発。期待されていた
成績とは対照的に早くもJ1復帰という言葉とは裏腹にもがき苦しんでいる。。。

何をしたいのか、何をするべきか、監督も選手も迷い。肝心なフロントまでもが道をしめせないまま
後手に回る手を打ち、修正が利かないまま流れに乗り「いずれは・・・」という雰囲気のまま現在を
迎えている気がする・・・。
「なんとかなるだろう」という空気は選手にも伝わりそれまでがむしゃらさやライバリティーやサンガに
根付いていた挑戦者魂は消えうせてしまった。
一貫した道を示していたサンガとはまったく別の気弱なサンガの印象が再びよみがえったかの
ような光景だ。

さらに監督交代の連続は築いてきたすべてを失い迷走に拍車をかけた感は強い。
その流れがここに来てツケが回ってきている気もする。。。

 今期、獲得した選手は名前を見れば豪華に豪勢だ。
残った選手との融合を図るべくJ1復帰という言葉と遜色ない補強を果たした。
特に03年ではネックだった精神的支柱の選手の不在という点では問題ないほどの本気な補強というべきだろう。
それほどまでサンガは「1年でJ1復帰」という命題を掲げた。さらに降格の際
「圧倒的戦力」「ダントツでJ1復帰、J2優勝」という言葉までも掲げた。
だが、いざ開幕を迎えたJ2での闘いに際してここで立ち止まってしまった。
これでサンガは安泰だという空気が蔓延した。

キャンプ情報では順調というべき仕上がりを見せていたような気もするが実際のところ
怪我人が多数現われた。これはどういうことだろう?
想像以上にきついといわれたトレーニングでは選手の仕上がりも万全だったような気もするが
リーグ戦でのあいつぐ怪我人。。。これではなんのためのキャンプだったのか理解できない。
不足の事態といわれればそれまでだが何のために体を作り上げてきたのか?
 またJ1との練習試合では互角以上の成果を挙げ、J2との練習試合では脆さがでるという03年からの
流れが生まれていた。上位とは果敢に立ち向かいいわゆる下位との対戦では受け手に回るとへこんでしまう。
それがここまでサンガが闘っているJ2での甘さにも現われている。
相手よりも動きが鈍い。さらに勝負どころでの読みは相手に付け入る隙を与えてしまう。
個々のレベルは上位でも組織でのサッカーでは上位にも食い込めないレベルがサンガの現状だ。
流れからの攻撃と得点は完全に失せている。怪我人が増え、選手も試合毎に入れ替わる。
選手にも混乱が生まれると同時に監督さえもどうすればいいか迷いが出ている。
これでは勝てるカードも落としてしまう。事実、相手に退場者がでて数的有利になった試合を完全に
落としている。
勝ちきれるだけの力がない。よくて引き分け。
試合終了後の選手の曇った表情は何をすべきか迷いさまよい続けている。
いずれ奪えるだろう。勝てるだろうという安易な気持ちと平行した気持ちは03年のままだ。
うつむくイレブン。うなだれるイレブン。組み立てられない攻撃は相手に単調さを与えてしまい、
逆に守りやすいといわれてしまう。
余裕があるかの攻撃は手数を掛けすぎ気がつけば相手に簡単に守られてしまう。
サイドから攻めあがるかと思えば真ん中から攻めていく。
ボールだけが回り選手の運動量は相手より劣っている。
選手との間での気持ちの温度差と目指しているサッカーにギャップがありすぎる。
毎回コメントする監督の言葉も迫力がない。
年を追うごとに進化するJ2は想像以上に他のクラブはレベルアップしていた。
簡単でないJ2を経験していてもこれなのだ。
甘すぎるといても過言ではない。
だが、苦戦している要因はサンガはここに来ていまだにチームの仕上がりが出来ていないことも繋がっている。
練習試合を何本組んでも大量得点で勝ったとしても実戦でしか確認できないプレーを求めても
いざリーグ戦で試しても発揮できていないのが現状だ。
当初の目的に見合った結果が出ていないのも、何がしたいのかがわからないかもしれない
ここまで選手が揃っていないのが原因というべきもあるかもしれない。。。
たしかに残留選手がほとんどであるが指揮官が新しく就任したチームとしても始まりだしたといえば
そうかもしれない。だからまだチームが出来ていないといえばそうかもしれない。
発展途上中ですといえば済むかも知れない。。。
だがだ、肝心の選手たちから覇気がない。いくら前向きな言葉を発しても選手が見せる気持ちには
必死さが伝わらない。相手以上に走りぬく気力も見えない。
怪我で出れない選手を埋めるだけの選手層があってもそれを補えるだけの気迫やポジションを奪うという
気迫も見えない。開き直れというフロントの言葉もいい加減さが浮き出ている。

開き直るにしても結果が伴わないのに、開き直れの意味が違いすぎる。
それで、「1年でJ1、圧倒的戦力、J2優勝」という言葉を発言したのなら言語道断だ。
それをいうにはそれなりに覚悟と自覚があってこそだろう。言葉だけが先行して実際の行動が
裏目に出ている。フロントの想いと選手監督とのJ1に対する気持ちが大きく差がありすぎる。。。
あまりにも矛盾していて、その言葉のギャップに苦しんでいる。
J2降格して再スタートとしてもう一度チームを再生させて時間をかけてもう一度J1に挑む。
チームの熟成に時間を掛けて選手を育て、チームとしてももう一度方向性を見つけるというある程度の
年数を費やしても再生させるというならばいざしらず、あくまでもサンガは1年でJ1復帰を果たすんです。
そのために選手を補強してもう一度J1でやるんです。J1で常に闘い続けるチームを目指すんですと
豪語したのだ。
その言葉に自らが墓穴を掘っている気がする。

1年目はチームとして再スタートを切り、選手を育てる時間を費やす。
2年目はチームの熟成を図る中で上位に食い込めるだけの力をつける。
3年目はJ1に復帰する

などの目標を定めているなのならそれはある程度通用するかもしれない。
だがサンガは1年でJ1に復帰という目標を定めた。
だが悲しいかなサンガは何をするにも中途半端な状態だ。
言葉が先に進み、現状に迷っている。
 怪我人が戻り、ベストメンバーといわれる選手が揃えばある程度サンガはJ1復帰という
命題を果たすことが出来るかもしれないが、しかし、このままシーズンを言葉だけで済ますのなら
厳しいが大鉈を振るうくらいの覚悟も必要である。

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