■ コラム一覧 ■ ホームへ ■


いつか再び翼を広げて -茜色に沈んだ夕焼けの中で(7)-

 西京極最終戦でのヴェルディ川崎戦でカズのハットトリックで3-2と勝利を収め
初めてホーム最終戦を勝利で締めくくったサンガ。
「我々は最後まで諦めたくない」エンゲルスがホーム最終戦で最後の挨拶に語った言葉。
最後まで諦めたくないJ1への想いをスタジアムに駆けつけた全員が願った想い。
しかし、2000年のJ1リーグ最終戦でのユニバーでのヴィッセル神戸戦で延長の末
引退を決めていた永島にVゴールを決められ事実上サンガのJ2降格は決まった。
事実上この日からサンガはJ2のサンガとしての再スタートとなった。
まさかの降格。。。この日神戸へ応援に駆けつける事が出来なかったのでテレビで
観戦していた私は、延長Vゴールで敗れシーズンが終わった事をはっきりと確認した時
1人テレビに向かって大泣きしていた。
「悔しい。。。サンガが落ちるなんて。。。本当に悔しい…神様は何で」
自分にとってサンガは本当に愛すべきチームだった。常にサンガを忘れる事などなかった。
常に下位に沈んでいても苦しいシーズンを送っていても応援を止める事などなかった。
見捨ててしまいたくなる時が確かに時にはあってもそれでも辞められなかった。
ただ愛していた。

「これからどうなるんだろう・・・」
漠然と浮かぶJ2に「1年で戻れるんだろうか?」と不安になった気持ちに
「レッズのように1年で返り咲けばいいやないの」という妻からの励ましにもレッズが
苦しんだシーズンを想うと不安はかき消される事などなかった。
レベルが急速に上がりだしているJ2は昔のJFLのようなアマチュアが混同しているような
リーグ戦ではないということはうっすらだけど感じていた。
だけど、翌年のJ2を想うと、サンガの戦いがどうなるのか?
一年で戻ってくるだろうか?と不安になり、
降格のショックがさらに大きく自分にのしかかった。。。
冬の寒さがよけいに身にしみる。。。
仕事帰りに借りた中島みゆきの「時代」のCDを車の中で流しながら途切れる事のない
思いを胸にハンドルを握っていた。

あんな時代もあったねといつか笑って言えるでしょう。
だから今日は、くよくよしないで今日の風に吹かれましょう。

まわる、まわるよ時代は回る。
喜び、悲しみくり返し、今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって歩き出すよ。

そのフレーズがやけに胸に染みる。センチな気分になる。
はたしてそういう日が訪れるのだろうか。。。目に涙を浮かべながら
その先のことを想いつづけていた。。。。
その気持ちにさらに衝撃を与えた事件が起こった。
11月30日、仕事を終えて家路に着くとその日に見たニュースに呆然とした。。。
(カズ戦力外通告)
まさか!?嘘だろう?どうして?
「何が理由だよ!!カズを必要としないのかよ!サンガは何を考えてるんだ!」
こみ上げる怒りと信じられない気持ち。
一体なぜ?サンガがそんな行動に踏み切ったのか理解が出来なかった。

「Jリーグの宝であるカズを我々の勝手なことで拘束できない」
それだけで、戦力外通告をするサンガに本当に信じられない気持ちで一杯だった。。
「なんの理由もないじゃんか!それが理由なんて舐めてる!」
フロントの曖昧な発言、はっきりしない理由。それを見ても筋が通っていない。
宝ならチームにとっても宝だろう!得点ランキング3位の実績を残しているし、
普通ならありえない降格チームでありながらも彼の実績はその数字ではっきり
分かるだろう!
J2なら尚更彼を必要とするべきだろう!彼に救われた試合は幾つもあっただろう!
最初は礼儀を尽くして迎え入れ、その後は理由のない、言い訳で放出するなんて。。
1年でJ1に戻るためにって言ってる意味が分からないよ!
そういう行為を平気でするチームを俺は応援してきたのか?」
J2に降格した理由がなんだったのかもはっきりさせないチームを、明確な物を見せない
チームをおれは応援してきたのか?
一気に爆発した怒り。その時点で一気に冷めたサンガへの愛情・・・。
カズ1人辞めさせることで冷めたわけではない。ただ、そういう筋道をはっきりさせない
事をできない事に腹がたった。
何度も入れ替える選手。監督。それだけで乗り切れると想い、毎年別チームのような
サンガに時には怒りもあらわにしたけど、愛している理由で応援してきた6年間があまりにも
空しく思えた。
「一体何を信じてこのチームを応援したらいいんだ・・・・」
「過去の経験は間違っていた。」と語るフロント。
もはや応援することを続ける気持ちが薄れた。J1にいた5年間何を学んだんだ。。。

「俺。。サンガ応援するの止めるよ・・・もう何を信じていいのか分からないよ・・・」
呟く自分に驚いたのは妻だった。
「あれほど応援していたのに?!」

応援仲間もただ驚くだけだった。

(8)最終章へと続く。

■ ページトップ ■ コラム一覧 ■ ホームへ ■


inserted by FC2 system